今必要とされるT字型人材とは?企業内で育成する方法

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T字型人材

T字型人材という言葉をご存知だろうか?

T字型人材とは、確固たる専門分野をひとつ持ち、さらに幅広い知識を持つ人材のことを言う。

このページではT字型人材の詳細と、企業内でどのようにT字型人材を育成していくべきなのかをご紹介した。

T字型人材の必要性と育成していくための注意点を把握して頂けると幸いだ。

T字型人材とは?

松田 航
T字型人材をご紹介する前に、2つの○字型人材をご紹介しておく。

I字型人材

I字型人材とは、ひとつの分野を掘り下げた専門家だ。別名スペシャリストと呼ばれる。

知識の深さと幅をそれぞれ深さと幅を示すグラフで表すと次のようになる。

I字型人材

わかりやすく、下にまっすぐだ。

長年の経験を持つデータベースエンジニアや、法務一筋10年といったベテラン社員がI字型人材になる。

I型人材は技術職に多くなる。大手向けのコンサルタントや、医師、エンジニア、デザイナーなど10年戦士は多いだろう。

反面、営業や企画などは異動も多く、大手でも中小でもI字型人材となりにくい。

一字型人材

別名、ゼネラリストだ。ただし、あまりいい意味で使われないゼネラリストだ。知識の幅はあるが、深さがない人材を言う。

一字型人材

いわゆる、スキルがどれもそこまで高くない、なんでも屋さんだ。会議の場では生きるが、実戦となるとなかなか戦力になりにくい。

T字型人材

このふたつの人材像を組み合わせたのが、T字型人材だ。T字型人材を図で表すと次のようになる。

T字型人材

シングルメジャー(single major)とも呼ばれる。ひとつのしっかりとした軸があり、かつ幅広い知識もある人材だ。

なぜT字型人材が求められているのか?

T字型人材が求められているのは、様々な理由がある。

視野が広い

「釘打ちは何を見ても釘打ちに見える」という言葉がある。このように、専門家はどんな解決にも自身の専門分野を持ち出してしまいがちだ。

SEOの専門知識があると、売上のすべての問題をSEOで解決しようとしたり、エンジニアリングの知識を持っていると、すべて問題をエンジニアリングで解決しようとする。「仕事が多い?じゃあシステム化だ」などだ。

そうではなく客観的に問題を捉えて、解決する人材が必要になっている。T字人材はまさしくそういった人材だ。

分野をまたいだ解決が必要な状況が増えてきた

もうひとつの理由に分野を横断した仕事が増えていることが挙げられる。

これまでは、ひとつひとつの領域で仕事が完結していたのが、徐々に様々な分野で横断的なソリューションを提供しないといけない時代になってきた。

厳密にいうと、単独分野領域は一般的になってしまい、売上を上げていくためにはそういった人が触れていない分野にチャレンジしていくことが必要になっている

例えば、機械工学と医療を合わせた医療工学といった分野や、統計学×マーケティングのビックデータなど、横断的な分野は拡大していっている。

そこには競合他社が少なく、商売になるからだ。このようなときI字型人材だと視野が狭くなってしまい、新しいことへの抵抗感が強い。そもそもアイディアとしてそういった方向に行くことをなかなか思いつかない。

しかしT字型人材であれば、細かいところをまで知らなくとも、メリットやデメリット、解決への本質は掴んでいるため、横断的な分野に対しても対応が可能だ。

経営的観点の必要性

特にIT企業は小規模のプロジェクト型で業務を進めることも多い。

そういったときに考えるべきことは、プロジェクトの採算が合っているか、だ。しかし、専門特化のスペシャリストになってしまうと、なかなかそういう考えにならない予算やマーケティングや減価率などの発想が出にくい。

IT企業では、経営目線も含んだT字型人材になることで、各種プロジェクトの進行が上手く行きやすくなる。自分ですべてを考える必要はないが、知識として理解をしているだけで、プロジェクトマネージャーの大いなる助けになる。

IT企業のエンジニアにおけるT字型人材

ITエンジニアの中でのT字型人材としては、フルスタックエンジニアがそれに当たる。

フルスタックエンジニアとは、エンジニアの何でも屋だ。どこまでの領域という範囲は厳密には決まっていないが、インフラ構築できて、プログラムも組めて、データベースも設計でき、ネットワークに関しても、フロントエンドにも抵抗なく対応できるようなエンジニアのことを指す。

厳密な意味でのフルスタックエンジニアになるのはもう無理だ。それぞれの領域が深くなり過ぎている。

しかし、あくまでも知識のベースは持っていて、その分野のスペシャリストと擦り合わせが状態になっていれば、そのプロジェクトは上手く行きやすい。

会話ができる程度でもいいので、幅広い領域を知っていることはエンジニアにとってとても有益だ。

プログラミング側で解決できないことも、インフラ技術と連携させるだけで解決するということもある。そういった発想を持てるようになっておくだけで、だいぶ違うはずだ。

T字型人材の育成方法

どのようにすればT字型人材が育成できるのだろうか?

「I」と「一」のどちらが大切か?

その前に、そもそも「I」と「一」であれば、どちらが大切なのか? これはその企業が目指すべきところによる。

例えばコンサルティングなどのBtoB向けアドバイスを主業務としているとき、大手相手のコンサル会社であれば、I型人材の方が圧倒的に必要だ。生半可な幅広い知識を持っていてもどうしようもない。深く深く掘った、知識が必要とされる。

中小企業向けのコンサルであれば、専門知識よりもまんべんのない知識で、全体像をつかむ方が大切になる。一番大きな問題点を探し出すことがまず大切で、そのためにも知識が全体的に少しは深めの一型人材を育成する必要がある。

わかりやすくコンサルを例に出したが、他の業種でも同じように考えられる。一般的にはどちらが大事かというと、I型人材を育てることの方が重要だ。

なぜかというと、そちらの方が難しいから。

まずは「I」型人材の育成を

平均点で40点を超えることよりも、他が0点でひとつの科目で95を取ることの方が難しい。

これと同様に、80%理解したという状態からさらに理解を深めていくのは、時間もかかり大変だ。時間がかかるのだから、その分早くそうなるための場を作ってあげるべきだ。

しかし、注意も必要

しかし、年齢を重ねるにつれて人間は「新しいものへの抵抗感」というものが出てくる。I型人材になってしまうと、なかなかその枠から出ようとしない。

年を重ねれば重ねるほど、新しい何かの分野を勉強しなおすエネルギーがなくなっていく。好奇心の程度によるし、いつまでも勉強をやめない人もいるが、少数派だ。

大半の人は勉強が好きではなく、新しいことへの抵抗感があるものだと思って方がいい。

0 → 1は早めに

だからこそ、なるべく早い段階で、一度全体像を見てもらうというのは人材育成的にいい手だ。

例えば、エンジニア新入の1年目はテストしかやらないとしても、新入社員研修の段階で設計やコーディングを学んでいると、全体像を考えながら業務に取り組めるようになる。

営業をやることが予定されていても、ジョブローテションで3つか4つの部署を回っておくと、他の部部署の状況がおぼろげながらわかり、交渉や調整がしやすくなる。

大変なのは知識0から1にする部分だ。1になってさえしまえば、それを2にしたり、3にしたいというのはどうにかなるものだ。

だからこそ、なるべく早い段階でのジョブローテーションは企業としては非効率な面もあるが、有効な手段である。

その後は専門性を伸ばす職種へ

中途半端なゼネラリストは、なかなかスペシャルな人材とはなりにくい。

初年度に少し時間を使い全体を見てもらったら、なるべくひとつ仕事に集中してもらうべきだろう。もちろん、その分野に興味がなかったら別だが、1年やってわかってくると、興味が出てきてその分野に対する勉強は加速していく。

量の質転化という言葉がある。結局は量芸子が必要だということだ。

同様に有名な10000時間法則という法則がある。プロフェッショナルになるには、10000時間のトレーニングが必要だ、という法則だ。

1日5時間程度その仕事に打ち込めたとして、2000日。1年間に200日稼働するとすると10年間だ。

ひとつの分野でプロフェッショナルになるにはこれくらいの時間がかかる。

全体の理解を進めたら、スペシャルな人材に育っていってもらうべきだろう。その方が、メンバーひとりひとりのキャリアを作っていける。

さらにΠ(パイ)型人材

Π型人材という言葉もあり、これは2つの領域にまたがってスペシャルな技能を持つ人材だ。先の間の領域を攻めていくというのは今後加速度的に増えていくだろう。

T型人材になれたと思ったら、Π型人材を目指したいところだ。資質によるだろうが、好奇心旺盛なタイプの人材であれば、モチベーションの低下も抑えられて尚良しだろう。

また、一点注意が必要だが、I型人材が不要なは訳ではない。I型人材はそれはそれとして貴重な人材だ。T型になりたがらない人もいるし、無理強いをする必要もない。適材適所。要はバランスだ。

まとめ

T型人材についてご紹介してきたが、いかがだっただろうか?

  • T型人材はスペシャルな1分野とマルチな知識を持つ人材
  • 縦軸の方が育ちにくい
  • まずは本当に軽くだけ横軸を伸ばし、その後は縦軸を伸ばすことに専念してもらうべき

というところを掴んで頂ければと思う。

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